乗鞍岳縦走(丸黒・千町尾根~乗鞍岳~平湯新道)

日   程:2015年9月19日(土)~21日(月)

天   候:19日曇りのち小雨 20・21日晴れ 
参 加 者:T田(CL 車)、S本(食坦 記録)
コースタイム

<19日> 5:30栗東IC→高山IC→9:15乗鞍青少年交流の家(登山口)→10:50枯松平→12:15丸黒山→16:20奥千町避難小屋(泊)  
<20日> 5:50避難小屋→10:13乗鞍岳→12:40平湯・十石山登山口→14:30金山岩分岐→16:23平湯温泉スキー場上部→17:30平湯キャンプ場(幕営)
<21日> 平湯温泉BT(バス)→高山駅13:00発のらマイカーにて車回収→帰途

記   録

千町ヶ原池塘群
千町ヶ原池塘群

 曇り空の中、青少年交流の家から登山口に入る。T田氏は16年前に乗鞍岳までの同コースを経験している。コース上には水場がないため、2日分の行動用と炊事用の水を加えると、ザックの重みも結構なものになる。丸黒山までのオリエンテーリングのコース表示(No0~60)に沿って、整備された道を進む。避難小屋も兼ねられそうな枯松平休憩所を過ぎ、ガンバル坂・根性坂の急登を終えると丸黒山に到着。100m程の急下降の後、小雨の降りだした樹林帯の尾根を登り、苔むした岩や木の根、所々ぬかるんだ笹薮のルートを辿る。この辺りは笹の刈払いや、木道が朽ちた残置鉄杭をピンクリボンで明示されている等、ルートは丁寧に整備されていた。やがて視界が開け、池塘が点在する千町ヶ原に出る。小雨とガスに包まれた草紅葉の湿原には、しばし疲れを忘れ、感嘆の声をあげる。青屋登山道との分岐を過ぎ、再び200m程度の登りを終えると、再び広い湿原に出て、眼前に奥千町避難小屋が現れる。

奥千町避難小屋
奥千町避難小屋

 ここまで誰とも出会わず、トイレもあるきれいな避難小屋も貸し切り状態。さらには、ひと息ついた頃、雨が止み、急に乗鞍岳の全容が現れ、外に出てみると、日没間近の雲海の彼方に、御嶽や白山、笠ヶ岳の大パノラマが開けていた。このひと時を、自分達だけで独占できていると考えると、自然の恩恵にただただ感謝する以外何も思い浮かばない。

乗鞍岳方面
乗鞍岳方面

 翌日…前日の疲れもすっかり癒され、天気も晴れていたが、前日に降った雨露と藪が行く手を阻む。ルートは確認できるが、下刈りされていない背丈以上の笹やハイ松の中を、藪漕ぎする度、雨に打たれた後のようにびしょ濡れとなる。ようやく視界が開け、ハイ松の背丈が腰下~膝程度となった頃、乗鞍大日岳のピーク付近が姿を現す。快晴の向こうには御嶽が煙を上げていた。雷鳥が前方を飛んでいく。風もほとんどない絶好のコンディション。大日岳のガレ場をトラバース気味に高度を稼いでいくと、剣ヶ峰のピークが急に姿を現す。目を凝らすと、祠の周りは人だかり…。鞍部から権現池を見て、少しばかりの最後の急登を終えると、別世界のような頂上の喧騒に突入…ここまでの独占された静かな山行とのギャップが激しい。早々に記念撮影を終え、肩の小屋で水分補給を済ませると、長丁場の後半戦のスタート。大黒岳を過ぎ、バス道をしばらく歩き、前方に穂高が見えた頃、ガードレール横の平湯・十石山登山口に到着。ちょうど平湯から登ってきた登山者2名と遭遇し、平湯新道のルート状況を確認。10年前に開設されたルートだが、ぬかるみと笹薮に、あまり期待できない状況であると覚悟を決め、日没までに下山できるように気合いを入れ直し出発。ガスのかかった硫黄岳の稜線を過ぎ、笹薮の続く尾根筋を徐々に高度を下げ、再びぬかるんだ笹薮の急登を喘ぎながら終えると、十石山へのルートとの分岐にあたる乗鞍権現社の小祠に出る。その後、木の根や岩の混じった歩きにくいトラバース道を過ぎ、緩やかなアップダウンを繰り返しながら、ようやく平湯スキー場上部に出る。何とか日没までに平湯キャンプ場に到着し、ヘッドライトを頼りにあわただしく幕営。本日12時間の縦走に、気力も体力も全てを使い果たした状態だが、達成感はそれに余るものだった。キャンプ場は、連休真っ只中で、周囲は車やバイクの騒音も激しいものだったが、T田氏の残りわずかのワインで乾杯し、つまみ類を口にして、二人ともそのまま爆睡。

剣ヶ峰
剣ヶ峰

 翌日、早々に平湯バスターミナルまで歩き、ベンチで棒ラーメンを食べて、入浴後、バスで高山まで出る。連休中は外来入浴の開始時間が普段より早く、思ったより早いバスに乗れたため、高山で観光や昼食を済ませ、ここから13:00発の『のらマイカー』(濃飛バス運営:高山市地域バス)にり、再び乗鞍青少年交流の家まで車を回収に向かう。岩滝地域周辺の地域巡回バス(ワゴン車)で、交流の家まではデマンド区間で事前予約が必要、かつ地域巡回のため1時間以上の乗車となるが、運賃は何と100円…乗車も我々だけのタクシー状態だった。
 T田氏との山行も恒例となり、何年も続いている。最初はのんびり山行だったが、気が付けば、のんびりどころかハードな縦走ばかり…しかも玄人好みのルート。今回、連休の百名山でありながら、本当に静かな山域からのアプローチを独占でき、本当に感動的な山行だった。
T田氏に感謝…。

記録 S本