個人山行 北アルプスデビュー 奥穂高岳

【日 時】 2021年7月24日(土)~25日(日) 快晴

【参加者】 K口(CL)、N西(報告)

【コースタイム】

7/24(土)

上高地バスターミナル5:20―6:10明神館6:20― 7:05徳沢7:25―11:25涸沢ヒュッテ12:00―14:30奥穂高山荘 
7/25(日)

奥穂高山荘6:30―8:15涸沢ヒュッテ8:45―11:40徳沢

 

 

 

 

【報告】 

 21日(水)、K口さんから「24日、25日に北アルプスでも行きますか?」と誘っていただいた。白山での筋肉痛がまだ残ってるし、私が北アルプスなんて登れるのか?と自問自答したが、夏山に行ける期間は短い!天気もよし!これはチャンス!逃してはいけないと思い「連れて行ってください!」と返事をした。奥穂高岳と言われてもどの程度の山なのか全く想像ができなかった。
 上高地から明神橋、徳澤園、横尾山荘までは夏の緑がとても気持ちがいい。マイナスイオンを全身に感じながらとても気持ちのよい平坦な道だった。ここから少しずつ緩やかな登りになってきたが、まだまだ余裕はある。本谷橋ふもとの勢いよく流れる雪解け水で火照った体を冷やし涸沢小屋を目指す。ここまではそんなに登っている感じはしなかったが、いつもよりお腹が減った。気づいていないだけで結構体力を使っていたのかもしれない。少し先に涸沢小屋が見えてきた。11:25涸沢ヒュッテに到着。クリアに晴れた広い青空に、奥穂高岳、北穂高岳がどっしりとそびえている。なんて雄大な景色、ずっとこの景色を眺めていたい。けれど私たちのゴールはこここではない。ゴールはこの上に小さく小さく見える奥穂高山荘。ゴールが見えているから何とか頑張れそうと思ったが、標高を見ると700m登らなければいけない。気持ちが萎えそうになる。そして、そこには滑落による死亡事故が連続発生しているザイテングラートがある。出発日の新聞で奥穂高岳で男性が滑落死した記事を見た。場所はザイテンとのこと。下から見ると普通の尾根のように見えるが実際は違うようだ。地図上での所要時間は2時間半。しかし足は既に疲労している。15:00には着きたい。遅くても16:00までには絶対にたどり着かないといけない。12:00涸沢ヒュッテを出発。急坂でいっきに50m、100mと登っていくような気がする。小屋がみるみる小さくなっていく。下から見ると緩やかな登りに見えたが、実際はそうではなかった。ザイテンまでが長い。雪渓の風がひんやり心地いい。息があがりだんだん会話も少なくなってくる。いざザイテンへ。岩場が続く。ここで滑落事故が多発しているのかと思うと絶対に気が抜けない。3点確保で一歩一歩慎重に登っていく。怖いかもしれない。絶対に下は見ない。ザックの重さでバランスを崩したりしたら大変。ザイテンは長い。疲れて意識が朦朧としてくるが絶対に気を抜いてはいけない。登ることに一所懸命になり、口をきくと息が苦しくなることを意識している。ここで死んではいけないと自分に言い聞かせて息を整えながら登った。さすがK口さんは慣れている。”山頂まで20分”の表示が見えてきたが20分が長い。

 14:30山荘に到着!もっと時間がかかったような気がしたが、所要時間通りのペースで登れたようだ。無事に登れた。本当によかった。充足感が全身にみなぎりわたり、青空に向かって絶叫したい気持ちにかられる。午後から雨が降るかもしれないと聞いていたが空はすっきりと晴れている。無事に登れてほっとしたのか急に睡魔が襲ってきた。テントを張って1時間程度仮眠した。雨がポツポツと降ってきたが、起きたときには雨はあがりきれいな虹が見えた。ブロックン現象も見られた。テントの前には奥穂高岳が堂々とそびえ立っている。改めて自分が3000mの高さにいることに驚く。初めてのテント泊が奥穂高岳なんて本当にびっくりする。K口さんがサイコロステーキを焼いてくれる。とても美味しい。テント場はとても静か。すぐに入眠できた。寒くはなかった。 

 3:30起床。初テント泊は熟睡できた。夜中は雨が降っていたようだが今は上がっている。ガスで奥穂高岳は見えない。この状況の中では私は安全に奥穂高岳には上がれないと思い、K口さんだけ奥穂高岳を目指して出発された。私はテント場で留守番。ガスが抜け奥穂高岳がだんだん姿を現してきた。下山するオレンジ色のヘルメットのK口さんが見えてきた。下から見えているのがピークではなく、そのだいぶん先が奥穂高岳のピークのようだ。ジャンダルムまで行ってしまうのではないかと思わせるくらいだったようだ。私の今日一番の目標はザイテンを無事におりること。『山登りで一番難しいのはね、登ることじゃない。登った山を無事に下ることだ。無事に下って初めて登山が成功する。』と、さだまさしの『アントキノイノチ』に書いていた。標高3000mで熟睡したお陰で気持ちも足も復活した。
 6:30奥穂高山荘出発。足取りもしっかりしている。昨日はすれ違う人に挨拶する余裕もなかったが、人に声をかける余裕さえある。ザイテンを慎重におりる。下山の方が怖いはずなのにしっかりと歩けている。ザイテンを無事に通過し続いて雪渓。ここも油断できない。絶対に滑らないように雪を踏みしめて歩く。岩に腰をおろし雄大な風景を眺める。大きく首を廻して周囲の風景を見る。写真ではこの絶景は伝えられない。今まで私が見てきた山とはスケールが全然違う。今日は花を愛でる余裕もある。白や黄色の可愛いお花に癒される。
 下山は早い。8:15涸沢ヒュッテに到着。同じ場所にいるのに昨日と気持ちが全然違う。各自ぼーっと山の風に吹かれる。登山客が大勢訪れるのも頷ける。徳沢までいっきにおりる。徳沢で山のカレーを食べてほっと一息。今回の山行を振り返る。私の体力次第では涸沢でテントを張ることも考えてくださっていた。予定通り奥穂高岳まで行くことができて本当によかった。奥穂高岳の景色を十二分に堪能することができた。平湯温泉で汗を流して帰路につく。
 両日とも快晴で、空のスカイブルーと山々の緑と残雪のコントラストが美しかった。ザイテンで雨に降られたら、きっと私は登れなかっただろう。今回も山の神様に守ってもらった。4連休のわりには登山者は少なかったように思う。前日はもっと多かったのかもしれないが、下山者とのすれ違いもそんなに多くなかった。奥穂高岳のテント場は私たちが予約した時は空いていたが、今週末はいっぱいのようだ。小屋も既に満室に近い。いいタイミングで登ることができたことに感謝。一緒に連れて行ってくださったK口さんに感謝。この山行で多くのことを経験することができた。このような山に登ることができ、一歩踏み出せたような気がする。初めての3000m級の登山、初めてのテント泊、初めての北アルプスは最高にいい思い出となった。ありがとうございました。