南アルプス 仙丈ケ岳(地蔵尾根から)

日   程: 2015年8月12日(水)~14日(金)

参 加 者: T田(CL車) 、 S本(SL) 、 K村(記録)

コースタイム

8月12日(晴れのち曇り)
4:30栗東IC集合<名神・中央自動車道>松川IC 7:05 =7:14伊那大島駅7:40 =(JR飯田線)= 8:55伊那市9:00 = (JRバス)=9:20高遠9:25 =(市内循環バス)=10:20伊那里10:25 … 11:54孝行猿の遺跡12:00 … 14:151700m水場14:20 … 17:00松峰小屋(避難小屋泊)
8月13日(朝から雨、小雨、ガス、午後曇り)
3:30 起床、5:05 仙丈ケ岳へ向け出発 … 2400m展望台7:05 … 10:30仙丈ケ岳 …
11:15大仙丈ケ岳 … 14:00高望池 … 14:50独標14:55 … 15:45横川岳 … 16:07野呂川越 … 16:55両俣小屋(テント泊)
8月14日(曇りのち晴れ)
3:00 起床 (朝食・撤収)6:13 発 … 8:13野呂川出合9:15=(南アルプスバス)=9:25北沢峠10:00=(南アルプスバス)=10:50仙流荘10:55=(市内循環バス)=11:25高遠11:35=(JRバス)=12:00JR伊那市駅13:17=(JR飯田線)=14:17伊那大島駅=14:25【タイヤ交換】16:00=松川温泉清流苑(入浴)17:00松川IC<高速>20:20栗東IC

記   録
 中央道松川ICには栗東ICから2時間半で到着。JR伊那大島駅に向かう。この駅の駐車場に車を置かせてもらう。塩見岳方面からの登山バスがこの駅に接続しているからである。準備を整え、駅で電車を待っていると予定していたよりも早い便に乗ることができた。伊那市駅で5分の接続でJRバスに乗り換え、高遠に向かう。ここで待機していた市内循環バスに乗り換える。町中や山間部の集落をいくつも巡回しながら1時間かけて仙丈ケ岳地蔵尾根登山口付近の伊那里に着いた。接続がよかったので計画より1時間半ほど早く着くことができた。
 10時30分、標高850mから登山開始。しばらくは急こう配の舗装道を登る。次の日のキャンプ地までは水がないということなので、3泊分の食料と2日分の水を担いでの登りである。これが結構疲れる。やがて植林地帯の山道になり、孝行猿の碑を目指して歩く。その後、林道を何度か横切ったり、時々林道を歩いたりが続く。100m登るのに30分のペースになっていた。この尾根ではほとんど人に出会うことはなかったが、1500m付近で、太平洋から日本海に歩いて抜ける予定という人に出会った。1700m付近で林道に面した山の斜面から湧き出る水があった。後でほかの人にも聞いたが、年間通じて湧いているらしい。その水は3人とも直接がぶ飲みしたが、大丈夫だったので、水場として使えそうである。1923mのピーク付近で、この時も林道の延長工事が進められていた。その工事現場のすぐ下の斜面を通るところには、手回しのサイレンが備え付けられていた。これを鳴らすと、しばらく工事の音が止んでいた。
 松峰をぐるりっと、巻いた後、2087mのピークを越えると松峰小屋の看板が出てきた。時刻は17時、これ以上進むことはできなさそうなので、予定通りここに泊まることになった。尾根から少し下がった急な斜面に小屋はあった。中はあまりきれいではなかったが、10人ぐらいはゆっくり泊まれるようなところであった。先客はなく、貸し切り状態かと思って食事をしていたら、暗くなってから(19時ごろ)1人の女性が、「こんばんは」と入ってきた。話を聞くと、この人がまた只者ではない人だった。2日前までは、北アルプスを縦走していたとか…、靴が壊れたので、松本に買いに行ってその後こちらに来たということであった。行き先を聞くと我々と同じ塩見岳を目指しているということだった。この地蔵尾根ではあまり他の人には出会わないが、出会う人は只者ではない人ばかりだ。
 夜、屋根をたたく雨音が聞こえていたが、朝にはやんでいた。外が少し明るくなってきたとき、雷鳴が1つ聞こえたかと思うと、雨が降り出してきた。朝5時、明るくなるのを待ってカッパを着ての出発となった。雨と霧にかすむ地蔵尾根をゆっくり登る。2500mを超えても、森林地帯で、地表は下草や苔に覆われている。北アルプスとの違いを知る。酸素不足もあり、ペースは上がらない。一歩一歩着実に進む。仙丈小屋と山頂を指し示す看板が現れた。もう少し登って、仙丈ケ岳山頂に到着。昨日から2200mの高低差を登ってきたのだが、山頂からの眺望はなし。南アルプスの貴婦人は微笑んでくれなかった。山頂のプレート前で写真だけ撮って、大仙丈ケ岳の方に向かう。この間はかなりな岩稜地帯であった。大仙丈ヶ岳を過ぎると、砂利道の尾根下りとなる。このあたりからの景観はきっと素晴らしいはずであるが、まったく見えない。霧雨が降り続いている。つらい修行の道が続く。そんなとき足元のきれいな花たちが心を癒してくれた。伊那荒倉岳を経て高望池に着いたのは14時。この日の出発が雨のため1時間遅れであった上にピッチが上がらず、さらに1時間遅れである。しかも体力的にも厳しくなってきた。予定通りの熊ノ平まではコースタイムであと6時間。その途中には水場や小屋もない。これは無理と判断し、野呂川越から両俣小屋に一旦下りて、翌日ここを登り返し、続きを歩こうとになった。ところが、この間の下りがかなり厳しい斜面で、滑りやすいところも多くあった。両俣小屋に着いたのは17時。この日は12時間の行動で3人とも”へろへろ”であった。着くや否や、明日あそこを登り返してさらに先を進む気力、体力がなく、期せずしてここで明日下山することに決定。
 そうと決まれば、ここで宴会となり、ビールで乾杯! 仙塩尾根が完歩できなかった悔しさで、ビールは苦い味であった。2泊分の食材を使った豪華な?晩餐の後、テントに戻りS本さんの「もう少し飲もう。」のお誘いに、「ちょっとだけ休憩」と答えたまま、いつの間にか眠りについていた。
 3日目、この日は、わずかの林道歩きと、交通機関(バス4つ、JR、車)での下山と移動の日なので、何も記録すべきことはないかというと、この日が一番ハプニングが多く、まるで、「塞翁が馬」のような出来事が次々と起き、話としては一番面白い?ところなのだが、山行とは関係がないので、省略します。聞きたい方は、直接この3人に聞いてみてください。同じ出来事でも聞く人によって、伝え方が異なるとは思いますが…。

 後でわかったことだが、地蔵尾根も仙塩尾根もバカ尾根と呼ばれているそうで…。道理で、出会う人は少なく、出会う人はたいがい只者ではなかったわけだ。
仙塩尾根は途中で断念することになり、悔しさが残るが、一つ目のバカ尾根を重装備で登り切ることができたことが、今回の大きな成果といえそうだ。

(文 K村)

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