船窪岳~烏帽子岳 縦走

山 行 日: 2011年(平成23年)9月22日(木)夜~25日(日)   前夜発 小屋泊まり二泊三日

参 加 者: Y森(CL記録)  N岡(SL)  K川(記録)  M内(会計) の4名

記   録

9月23日(金)   曇り後晴れ、一時雪 (距離4.2km 累積登り1,400m 下り30m)

コースタイム: 歩行時間約6時間強

7:40発七倉荘前P→7:45登山口発→9:25唐沢ノゾキ(1,536.6m)→七倉尾根→10:30(1,818ピーク)→12:00(2,178ピーク)→12:30天狗の庭13:00→13:50(2,453.5ピーク)→13:50船窪小屋(2,455m)着→14:15七倉往復→14:35→船窪小屋泊

 

 七倉荘前Pからトンネルの入口を右折して行くと登山口。ここからいきなりの急登。連夜の寝不足の身に堪える。ゆっくりしか歩けない。後から来る人たちにどんどん抜かれて行く。「お先にどうぞ。中高年グループですので」と言いながら、中高年、又その上の年齢の方にも抜かれて行く、やれやれ。七倉尾根の稜線に出るまで約400mの急登。唐沢ノゾキと呼ばれるピークから七倉尾根の稜線となりやっと少し緩やかに。七倉ダムを見下ろしながら登っていくと再び、2000mぐらいからかなりの急登になり、木製のハシゴが連続する。「鼻付八丁」と言われるところだ。「胸付八丁とどうちがうのかな、どちらがの急登なんやろね」「それは、鼻が付く方が急かな」。先日のバスハイクでの佐藤さんの名言「一歩、一歩が財産」と言う言葉を噛みしめながら登る。植生がハイマツに変わる2300m辺りからやっと緩やかになる、天狗の庭でゆっくり休憩をとるが、雲がかかって眺望はない。途中、群生しているブルーベリーを美味しい美味しいと摘まみながら行く。2453mのピークを過ぎてハイマツ帯を暫く行くと船窪小屋が見えてきた。鐘と小屋の美しい女性が優しく迎えてくれた。

七倉尾根ははしご多く急登の連続
七倉尾根ははしご多く急登の連続
船窪小屋に着くと鐘がなり、お茶を出して下さいます
船窪小屋に着くと鐘がなり、お茶を出して下さいます

小屋から5分で七倉岳山頂。雪が吹き付けています。初雪
小屋から5分で七倉岳山頂。雪が吹き付けています。初雪
日本一、危険な水場。N岡さんが水を汲みに
日本一、危険な水場。N岡さんが水を汲みに

 七倉岳を往復。突然の初雪で急ぎ降りる。N岡さんとY森さんは、「日本で一番危険な水場」と言われる水場まで水を汲みに行ってくださった。ありがたい。その間、小屋付近での「ブロッケン現象」を目撃。ぐずぐずしているうちに槍ヶ岳を開山した播隆上人が観たと言う観音様を見過ごしてしまった。小屋では常連さんが、名物おじさんと囲炉裏を囲んで和やかに団らん中。ランプの小屋として有名だ。そして何より小屋のお母さんの心づくしの手作りの食事が素晴らしい。メニューは、生春巻き、蕗味噌がのったお豆腐、干し大根などが入った野菜の煮つけ、トマトと山芋のマリネ、山人参・アザミなどの野菜のてんぷら、古代米、最後になんと、小屋の近辺でスタッフの人たちで摘んできたブルーベリーのゼリー。どれもこれもお母さんの真心が一杯詰まった感動の一品だった。そしてお布団も羽毛、枕にも清潔なカバーが掛けてある。七倉の急登を登って来た甲斐のある、船窪小屋だった。

ランプの小屋で有名な船窪小屋
ランプの小屋で有名な船窪小屋
手作りの食事。山人参の天ぷら他、生春巻。古代米のご飯等
手作りの食事。山人参の天ぷら他、生春巻。古代米のご飯等

「山のおかあさん」と、くろまめの実のゼリー
「山のおかあさん」と、くろまめの実のゼリー
稜線上に建ってる船窪小屋
稜線上に建ってる船窪小屋

(記録/K川享) 

9月24日(土) 快晴 (距離10.5K 累積登り1,200m 下り1,100m)

コースタイム: 歩行時間約10時間

5:45船窪小屋発(2,450m)→6:35最低鞍部(2,190m)→6:55船窪第一ピーク(2,290m)→8:10船窪第二ピーク(2,459m)8:23→11:00不動岳山頂(2,595m)11:25→13:03南沢岳山頂(2,625.3m)13:20→14:45烏帽子岳山頂(2,628m)14:55→15:45烏帽子小屋着(2,525m)

 今日が、今回のハイライトだ。小屋を出て少し行くと左が崩壊して切れ落ちたそのすぐ脇に付けられた急な登山道。崩壊斜面は年々浸食されている様子。今回の最低鞍部2190m、針の木谷への分岐の船窪乗越にでる。大きなアップダウンが幾つもあり、岩場もある。ここから登って、さらに登って下り、更に登りで第1ピーク。このあたり全体を船窪岳と言うそうだ。ここから更に120m登ったところがこのあたりの最高点の第2ピーク。ここからコースは南方向へ向かって樹林帯の中を行く。樹林帯の切れ間から大きな山容の不動岳とそこへの稜線を見ることが出来る。2400m辺りから植生は灌木とハイマツになり、右手には先日行った立山、龍王岳、鬼岳、獅子岳、ザラ峠、五色ヶ原がくっきり見える。不動岳手前の稜線からは、針の木岳と蓮華岳を見ながら進む。11:00不動岳の頂上に到着。山頂から見る立山連峰は素晴らしい。ここでやっと今日の行程の半分以上が過ぎた。

スリル満天の崩壊壁ルートの始まり
スリル満天の崩壊壁ルートの始まり
船窪岳を越えると、右から立山,龍王岳,鬼岳,獅子岳,ザラ峠,五色ケ原
船窪岳を越えると、右から立山,龍王岳,鬼岳,獅子岳,ザラ峠,五色ケ原

不動岳手前の稜線から、後ろは左から針ノ木岳、蓮華岳、北葛岳、手前に船窪岳第一ピーク(真ん中)、第二ピーク(左大きい)。基本的にあの崩壊した淵を回ります
不動岳手前の稜線から、後ろは左から針ノ木岳、蓮華岳、北葛岳、手前に船窪岳第一ピーク(真ん中)、第二ピーク(左大きい)。基本的にあの崩壊した淵を回ります
右の写真は不動岳ピークから真ん中に南沢岳、左に烏帽子岳(ちょっと形が違う)後ろに3つのカールを抱えた薬師岳
右の写真は不動岳ピークから真ん中に南沢岳、左に烏帽子岳(ちょっと形が違う)後ろに3つのカールを抱えた薬師岳

 不動岳頂上から暫くはハイマツの中のなだらかな下りが続くが、やがて少し急な下で南沢乗越まで下る。南沢岳へは崩壊斜面の脇に付けられたルートを登る。 南沢乗越から南沢岳へ出たら、思わず広い山頂での眺望に歓声が挙がる。烏帽子岳、三ツ岳、野口五郎、水晶岳とその稜線、読売新道、黒部川、遮るものがなにもない360度の眺望が広がる。あまり有名ではないこの南沢岳で贅沢なアルプスの全容を楽しむことが出来て感動。烏帽子岳手前には幾つかの池、地塘があり、多分夏は高山植物が全面に咲き誇ってきれいだろう。烏帽子岳手前の分岐にザックを置いて烏帽子岳を往復。烏帽子岳は、見る角度で全く違った表情を見せる山だ。そして登ってみるとこれ又、急峻な鎖場があり、味わい深い。裏銀座縦走の起点として多くの登山者で賑わう山だ。今日最後の行程のなだらかな砂礫地を進んで烏帽子小屋へやっと15:45到着。ゆっくり10時間もかけてようやくの到着だ。もちろん早速ビールで乾杯!!お疲れ様でした。

南沢岳山頂から烏帽子岳と三ツ岳、野口五郎方面をバックに
南沢岳山頂から烏帽子岳と三ツ岳、野口五郎方面をバックに
烏帽子岳山頂に登るメンバー
烏帽子岳山頂に登るメンバー

(記録/K川享)

9月25日(日) 快晴  (距離4.6K 累積登り50m 下り1,300m)

コースタイム: 歩行時間約4時間

5:41烏帽子小屋発(2,525m)→5:45小屋裏稜線に出る→6:35 2,208.5mの三角点→9:05不動沢下部仮橋→9:30高瀬ダム到着→(タクシー) →9:45七倉山荘前駐車場→膳所山森家17:45着

 

 小屋裏を少し登ればご来光が見られるのに、ぐずぐずして登ってしまったあとだった。 今日も快晴、最終日はブナ立尾根の下りを残すのみ。小屋裏の稜線から濁沢の崩壊斜面を見ながら下山する。最初は急な下りが続くが2,300mから少し緩やかになり三角点(2,208.5m)まで続く。そこを過ぎるとまた急な下りが出てきて、ハシゴのつけられている箇所もあった。ブナ立尾根は七倉尾根より道幅が広くしっかりつけられている。七倉尾根の登りの方が大変だと思う。さて標高を下げるに従い気温も上がって、暑いのでTシャツになって下山する。冬から夏まで体験できた今回の山行であった。濁沢下部に架けられた橋は今夏、流されたので仮橋が架けられていた。キャンプサイトから不動沢下部にかかるつり橋からは、途方もない土砂を見て崩壊の凄さを実感しました。このまま崩壊したら、山がなくなるのでは?と思える程でした。不動沢のつり橋を渡り、すぐに不動沢トンネルに入り、出たところが高瀬ダムサイト。ダムの中央には予約をしておいたタクシーが待っていてくれ七倉山荘前Pまでタクシーで戻りました。ようやく3日間の楽しかった山行も終わりです。同行して下さいましたメンバーの皆様、お世話になりました。今回も、無事事故なく終えられたのは皆様のご協力のお陰と感謝しております。ありがとうございました。

烏帽子岳をバックに。見る方向によって全く形が違う
烏帽子岳をバックに。見る方向によって全く形が違う
不動沢のダムサイトに下山、降りてきた~
不動沢のダムサイトに下山、降りてきた~

(記録/Y森)